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北海道の人気No.1温泉地「登別温泉」プリン、ベーカリー…進化する温泉郷で、最新スポット・新名物探し

登別温泉は、札幌から車で約1時間40分、新千歳空港からは約1時間と、アクセスの良さが魅力の日本有数の温泉地です。毎日1万トンものお湯が湧き出し、その泉質は9種類以上にも及ぶため、“温泉のデパート”と称され、国内外から多くの観光客が訪れます。そんな人気の温泉地にある変化が起きています。新スポット・新名物が続々と誕生。その魅力を登別市初代ナビゲーターである姫子さんと再発見していきます!

登別温泉のメインストリート「極楽通り商店街」
人気スポット「閻魔堂」

SNSで話題!登別温泉初のプリン専門店「道産子ぷりん」プリンで地域活性化を目指す、元ホテルマンの挑戦

プリンとスープカレーのお店「道産子ぷりん」

温泉街のメインストリート「極楽通り商店街」は、多くの飲食店やお土産屋が立ち並び、観光客で賑わっています。その商店街にある人気スポット「閻魔堂」の向かいにあるのが、2022年2月にオープンした登別初のプリン専門店「道産子ぷりん」です。地元「のぼりべつ牛乳」や隣町の白老産の卵を使用した食材へのこだわりと、風呂桶で提供されるユニークなプリンがSNSで話題を呼び、新たな観光スポットとして国内外から多くの観光客が訪れています。今回は、代表の美濃井さんにお話を伺いました。

プリン専門店と思いきや…驚きの香りと雰囲気

定番7種類と季節限定のプリンが並ぶ

姫子さん:お店に入った瞬間、スパイスの香りが漂ってきて驚きました!プリン専門店だと思っていたので、「あれ、カレー屋さん?」と一瞬戸惑いました。甘いプリンの香りをイメージしていた分、予想外でいい意味で驚かされました。

美濃井さん:ありがとうございます(笑)。もともと、プリンだけでなく食事も楽しんでいただきたいと思っていて、北海道の野菜や海鮮、地元食材を活かしたメニューを考えていました。さらに「食後にプリンをよりおいしく食べてもらうには?」と考えたとき、スパイスの効いたものがいいのではと思い、スープカレーを提供することにしたんです。

姫子さん:なるほど!たしかにスパイスの効いたお料理を食べた後なら、甘いプリンが一層おいしく感じられそうですね!

登別を愛するホテルマンからプリン専門店の店主へ

姫子さん:そもそも、このお店を始めるきっかけは何だったんですか?

美濃井さん:私は大学卒業後、登別温泉のホテルで6年間フロントマンをしていましたが、コロナ禍で観光客が激減し、温泉街全体が静かになってしまいました。たくさんの観光客で賑わっていた頃の登別温泉が好きだったので、「新しい魅力を増やし、それを知ってもらうことが必要だ」と思い、このお店を立ち上げました。神奈川のフレンチレストランで1年間修行をし、素材を活かす技術や調理の基礎を学びました。

シンプル・イズ・ベスト!素材の力が光る人気No.1「昔ぷりん」

「昔ぷりん」と「湯上がり温泉たまごぷりん」

姫子さん:たくさんの種類のプリンがありますが、一番人気はどれですか?

美濃井さん:「昔ぷりん」が一番人気です。昔ながらの硬めの食感が楽しめるこのプリンは、「のぼりべつ牛乳」と白老産の新鮮な卵を贅沢に使用し、素材本来の味わいを活かすため、余計な手を加えずに仕上げています。素朴で優しい甘さが特徴で、一口目はそのまま、そしてお好みでスポイトに入ったカラメルソースをかければ、2つの味わいを楽しむことができます。また、温泉街を象徴する風呂桶で提供し、見た目でも楽しんでいただけるよう工夫をしています。

スポイトに入ったカラメルソースをかけるのも楽しい!

姫子さん:風呂桶で提供するプリンは、見た目にも楽しくてSNS映えしそうですね!他にはどんなプリンが人気ですか?

美濃井さん:「湯上がり温泉たまごぷりん」も人気です。温泉卵を丸ごと乗せたプリンで、スプーンを入れると黄身がとろりと溶け出し、プリンと一緒に新鮮な卵の濃厚な味わいを楽しめます。さらに、特製の和風出汁シロップをかけると、甘じょっぱい風味が加わり、やみつきになるスイーツに仕上がります。他にも、黒ゴマや抹茶を使ったプリンも人気で、特に海外のお客様には「日本らしさ」を感じてもらえるメニューとして喜ばれています。

湯上がり温泉たまごぷりん
隣町の白老産の新鮮な卵は、黄身が大きい!
「道産子ぷりん」代表の美濃井 新さんと

姫子さん:オープンから順調なスタートを切られていますが、今後の目標はありますか?

美濃井さん:今後は登別を訪れた方々だけでなく、より多くの地域で「道産子ぷりん」を楽しんでもらえるよう、賞味期限が長い冷凍プリンの開発に挑戦したいと思っています。札幌や東京などの催事に出店し、プリンを通じてもっと多くの方に登別の魅力を届けたいですね。

姫子さん:登別のPRにも繋がりますね!お話を聞いて、「道産子ぷりん」が登別温泉の新しい名所になった理由がよくわかりました!

美濃井さん:ありがとうございます。これからも地元を盛り上げられるよう頑張ります!

道産子ぷりん
住所:〒059-0551 北海道登別市登別温泉町76番地
問い合わせ:Instagram、もしくはHPからご連絡下さい。電話でのお問合せは承っておりません。
営業時間:10:00〜18:00(売り切れ次第閉店)
定休日:年中無休

温泉だけじゃない魅力を!最古参の温泉旅館が手がける、登別温泉初のベーカリー「adex BAKERY & CAFE」

「adex BAKERY & CAFE」

次に姫子さんが訪れたのは、2024年8月にオープンしたばかりの「adex BAKERY & CAFE」。「道産子ぷりん」と同じく「極楽通り商店街」に誕生した、登別温泉初のベーカリーです。ここでは、15種類〜20種類の自家製パンと、挽きたての香り高いコーヒーを堪能できます。

このベーカリーを手掛けたのは、1858年創業の登別温泉で最も長い歴史を誇る老舗旅館「第一滝本館」のグループ会社である株式会社滝本イン。旧滝本インを改装し、アドベンチャートラベラー向けのホテル「adex inn(アデックス イン)」としてリニューアルオープンし、その一角に「adex BAKERY & CAFE」を併設しました。

今回は、「adex inn」の支配人である志渡将紀さんに、ベーカリー誕生の裏側と、登別温泉の変革について伺いました。

*アドベンチャートラベル(AT)とは
国際団体「Adventure Travel Trade Association(ATTA)」が「アクティビティ(身体的活動)」「自然」「文化体験」のうち、2つ以上の要素を含む旅行と定義しています。アクティビティを通じて地域の自然・文化を体験することにより、旅行者自身が、未体験の多様な価値観に触れ、旅行者自身の内面に変化がもたらされるような旅行スタイルです。アドベンチャートラベルは、一般的な観光旅行よりも現地での長期滞在が見込まれ、観光消費額も大きい傾向となるため、地域への経済効果が大きい点が特徴です。

*「adex inn」とは
「adex」は、登別周辺地域のアドベンチャートラベルを盛り上げることをミッションとしたブランド。“ADventure EXperience” の頭2文字からなる造語をブランド名として冠しています。

「adex inn」志渡将紀 支配人

温泉街に誕生した”香ばしい”新名所

姫子さん:パンの香りが本当にたまりませんね!このベーカリーは、登別温泉で初めての試みだと伺いましたが、どのような経緯で誕生したのでしょうか?

志渡さん:ありがとうございます。「adex inn」のリニューアルオープンに先駆け、2023年にカフェとして営業を開始し、2024年8月、満を持して本格的なベーカリーとして生まれ変わりました。登別温泉には、ラーメンや蕎麦などの食事処は充実していますが、観光客が気軽に立ち寄り、一息つける場所が不足していました。そこで、朝から晩まで、いつでも気軽に利用できるオールデイカフェを作ろうと考えたのが、このベーカリー誕生のきっかけです。

姫子さん:観光客の方々はもちろん、地元の方々にとっても、憩いの場として愛されそうですね!

志渡さん:そうですね。地元の方々にも、「ちょっと休憩したいな」「気の利いた手土産がほしいな」という時に、気軽に立ち寄っていただける、そんな場所を目指しています。

カフェはWi-Fi完備
カウンターにはコンセントがあり、ワーケーション利用にも

ここでしか味わえない!飲める温泉を使った「温泉クロワッサン」

姫子さん:本当にたくさんの種類のパンが並んでいて、目移りしてしまいます!その中でも、特に人気を集めているパンは、どれでしょうか?

志渡さん:一番人気は、何と言っても「温泉クロワッサン」です。登別温泉の飲泉可能な温泉水(=重曹泉)を生地に練り込んでいるのが最大の特徴で、しっとりとした独特の食感を生み出しています。さらに、フランス産発酵バターを使用することで、風味豊かで奥深い味わいに仕上げています。その他にも、厚めのベーコンを使用した「ベーコンエピ」、紅玉の爽やかな酸味が際立つ「アップルパイ」など、自慢のパンを取り揃えています。

姫子さん:どれも魅力的で、選ぶのに迷ってしまいそうです!

飲める温泉”飲泉”を使った「温泉クロワッサン」400円(税込)
5mmという厚めのベーコンが食べ応え抜群!「ベーコンエピ」500円(税込)
紅玉を使った「アップルパイ」650円(税込)

ベーカリーが地域活性化の一翼を担う

姫子さん:「adex inn」は、アウトドアをコンセプトにリニューアルされたと伺いました。どのような特徴を持つホテルなのでしょうか?

志渡さん:全47室の客室は、自然との調和をテーマにしたデザインで統一されています。また、アウトドアギアを機能的に収納できるハンギングウォールや、使い勝手の良いシャワーブースを完備し、アウトドア愛好家の方々に、快適な滞在を提供できる環境を整えました。さらに、ランドリーやドライルームも完備していますので、長期滞在にも最適です。

姫子さん:まさに、至れり尽くせりですね!滞在中のアクティビティが、より一層充実したものになりそうです。ベーカリーも、その一翼を担っているのでしょうか?

志渡さん:はい、朝食からアクティビティ前後のエネルギーチャージまで、多くのお客様にご利用いただいています。また、地域の方々にも、気軽に立ち寄っていただける場所として、徐々に認知され始めています。このベーカリーが、地域全体の活性化に貢献できれば、これほど嬉しいことはありません。

温泉以外の魅力で「周遊型観光」から「滞在型観光」へ

姫子さん:登別温泉は、従来の「周遊型観光」から「滞在型観光」への転換を推進していると伺いました。その背景には、どのような狙いがあるのでしょうか。

志渡さん:北海道では、各地をレンタカーで移動しながら1泊して次の観光地へ移動する「周遊型観光」が主流でした。しかし、登別の豊かな自然や文化、温泉をじっくり楽しんでいただくためには、連泊していただく方が良いと考えています。登別には車で10分ほどで本格的なハイキングが楽しめる山や、アウトドアを満喫できるスポットがあります。

それでもこれまで、私たち自身がその魅力を十分にアピールしてこなかったし、観光客の方々に発見される機会も少なかったと感じています。実際のところ、登別は温泉だけではないんです。豊かな自然、奥深い歴史と文化といった素晴らしい魅力がたくさんあります。これらをじっくりと楽しんでいただくには、連泊していただくことが理想的です。そのため、アクティビティや飲食施設を充実させ、滞在中の楽しみを増やすことで、「また訪れたい」と思っていただけるような場所へと成長していきたいと考えています。

姫子さん:滞在型観光が主流になると、観光客も地元の方々も嬉しい変化がたくさんありそうですね!今日は素敵なお話をありがとうございました。次回は、また登別の新しい魅力を探しに訪れたいと思います!

志渡さん:こちらこそ、ありがとうございました。ぜひまたお越しください!

adex BAKERY & CAFE(アデックス ベーカリーアンドカフェ)
住  所:登別市登別温泉町76
電  話:0143-84-2205
アクセス:バス第一滝本前停より約2分
営業時間:8:00〜22:00 L.O.21:30(*パンはなくなり次第終了)
定  休:月曜日・火曜日(カフェは無休)
席  数:35席(禁煙)


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